家族葬は家族や近しい親族のみで執り行う葬儀のスタイルで、一般葬と比べて参列者が少ないのが特徴です。葬儀の流れ自体は一般葬と変わりませんが、お通夜を省略して告別式のみで執り行えないかお悩みの方もいらっしゃいます。
しかし、喪主や遺族の独断で「お通夜をしない」と決めてしまえば、トラブルの元になりかねません。そこで本記事では、下記についてまとめました。
- 家族葬ではお通夜を省略しても良いのか
- 家族葬でお通夜しないときの葬儀の流れ
- お通夜なしの家族葬を執り行う際に抑えるべき5つのポイント
この記事を読むとお通夜なしの家族葬について分かるため、これからお通夜なしの家族葬を検討している方におすすめです。
家族葬ではお通夜なしでも大丈夫
結論から言うと、家族葬ではお通夜なしでも問題ありません。一般葬と違って参列者は身内だけのため、故人や遺族が希望する内容で執り行われることが多くなりました。
お通夜なしの家族葬について、下記の観点から見ていきましょう。
- そもそもお通夜とは
- お通夜なしでも問題ない理由
- 香典を受け取っても問題ない
お通夜なしの葬儀は経験者が少ないため、ちょっとしたことがわからない場合もあります。そのため、全体のポイントを押さえておきましょう。ひとつずつ紹介します。
そもそもお通夜とは
本来のお通夜は、家族や近しい親族、友人などの故人と親交が深かった人物が集まって夜通し故人を見守る儀式です。また、故人の死亡を確認する意味もあります。つまり、生き返ることを願っていたのです。
しかし、現在では、お通夜の意味合いも大きく変わりました。夜に執り行われる儀式という点は同じですが、夜通し行われず、約2時間ほどで終了します。
また、告別式は日中に行われるため、忙しい現代人のなかには参列できない方もいます。お通夜には、そのような方たちが故人とお別れする儀式という意味合いが含まれます。
お通夜なしでも問題ない理由
このように、現代のお通夜には「一般弔問客が告別式に参列できない場合、お通夜でお別れする」という意味が強いです。しかし、家族葬はそもそも一般弔問客を呼ばず、家族や近しい親族、友人などのみで執り行う葬儀です。
お通夜と告別式で参列者が大きく変わらないため、お通夜を省略しても問題ないと考えられるようになりました。
香典を受けとっても問題ない
お通夜なしの家族葬では、香典を受け取っても受け取らなくても問題ありません。香典の扱いは、遺族や喪主の意向によって決められます。
しかし、家族葬では、香典を辞退するケースが多いです。基本的に家族葬は、葬儀の手間を減らすことが重視されます。
香典返しの手間を省くため、香典を辞退する家族が多いですが、もちろん受け取っても問題ありません。ただし、香典を受け取る場合は、香典返しの用意を忘れないようにしましょう。
なお、下記の記事で、家族葬の香典について詳しく紹介しています。香典の相場や渡し方を知りたい方は、あわせてご一読ください。

家族葬をお通夜なしにする際の流れ
お通夜なしの家族葬を執り行う際の流れは、下記のとおりです。
- お迎え
- 搬送・安置
- 納棺
- 告別式
- 出棺
- 火葬
- お骨あげ
故人が亡くなった場合、基本的に24時間は遺体を安置しなければなりません。自宅や安置所で時間を過ごし、棺に収めます。
さらに、棺を葬儀場まで搬送し、告別式が執り行われます。告別式のあとは出棺し、遺体を火葬場に搬送、火葬後にお骨あげをして葬儀は終了です。
家族葬をお通夜なしで執り行うメリット3つ
家族葬をお通夜なしで執り行うメリットは、下記のとおりです。
- 遺族の心身にかかる負担を軽減できる
- 費用を抑えられる
- 短時間で葬儀を終えられる
家族葬でお通夜をなしにする場合は、手間や時間を削減できることが大きなメリットです。順番に見ていきましょう。
遺族の心身にかかる負担を軽減できる
お通夜なしの家族葬を執り行う場合、遺族の心身にかかる負担を軽減できます。訃報は突然やってくるものなので、普段から葬儀の準備をしているわけではありません。
そのため、訃報を受け取った喪主や遺族は、慌ただしく葬儀の準備をする必要があります。基本的にお通夜と告別式は2日間にわたって執り行われるものですが、その負担は計り知れません。
しかし、お通夜を省略できれば、その分だけ喪主や遺族の負担を軽減できます。また、家族や近しい親戚のみで、ゆっくりと故人と過ごせることも大きなメリットです。
費用を抑えられる
葬儀を執り行う際は、多額の費用がかかります。しかし、お通夜を省略すれば、その分だけ費用を抑えられます。
たとえば、お通夜にかかる基本的な費用はもちろん、通夜振舞いのような食事の費用も抑えられます。
また、お通夜と告別式を2日間にわたって執り行う場合、遠方の参列者は宿泊しなければなりません。宿泊に関する費用の負担もしなくて良いため、費用の削減につながります。
短時間で葬儀を終えられる
お通夜を省略するため、その分短時間で葬儀を終えられます。そのため、忙しい方でも参列しやすいです。
また、体力に自信のない方も、1日だけなら参加できる可能性があります。告別式の日程さえ押さえておけば、ほかの日程に影響は出づらいため、スケジュールも組みやすいと考えられます。
お通夜なしの家族葬を執り行う際に押さえておきたい5つのポイント
お通夜なしの家族葬を執り行う際に押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 参列者の日程調整が難しい
- 菩提寺の許可を取る
- 思ったより費用を抑えられない場合がある
- 親族の理解を得る
- 故人と過ごせる時間が短くなる
お通夜は「告別式に参加できない方が参列する」という意味で、執り行われる場合もあります。そのため、告別式の日程が合わなければ、故人に直接お別れできない参列者が出てくる可能性もあります。順番に見てみましょう。
参列者の日程調整が難しい
お通夜がない場合、お別れの時間は告別式しかありません。参列者は、その日の予定を空ける必要があります。
どうしても外せない予定がある場合は、参列そのものが難しくなります。そのため、参列者が少ない場合は、あらかじめ予定を確認してから日程を決めるのがおすすめです。できる限り全員が参列できるように、日程を調整しましょう。
菩提寺の許可を得る
菩提寺がある場合は、お通夜なしの葬儀で問題ないか事前に確認しましょう。菩提寺とは、先祖代々のお墓があり、葬儀を依頼している寺のことです。
昔ながらの儀式を重んじる菩提寺であれば、許可を得られない場合があります。連絡しないままお通夜なしの家族葬を進めると、トラブルに発展しかねません。
そのため、お通夜なしの家族葬を行う場合は、必ず事前確認をしましょう。
思ったより費用を抑えられない場合がある
お通夜なしの家族葬を執り行う場合、思ったより費用を抑えられない場合があります。告別式は1日で終わりますが、準備で会場を2日間借りなければならないケースがあるからです。
お通夜なしにすると通常2日間の葬儀が1日で終わるため、費用もおよそ半分になると考える方がいます。しかし、実際のところは、多少抑えられるものの大きな費用削減にはなりません。
そのため、費用の削減を目的にお通夜を省略するのではなく、あくまでも心身の負担を軽減するものと心得ましょう。
親族の理解を得る
お通夜の省略は、従来の葬儀と比べて大きな違いのため、受け入れられない親族がいることもあります。前述した「告別式1日だけでは参列できない」という意見を持つ方もいるでしょう。
そのため、お通夜なしの家族葬を執り行うならば、丁寧に説明し理解を得なければなりません。その際は、必ず故人・遺族の意向であることを伝えましょう。トラブルを防ぐためにも強引に進めるのではなく、柔軟な対応が必要です。
故人と過ごせる時間が短くなる
お通夜が省略されるため、故人と最後に過ごす時間は、2日間から1日になってしまいます。特に喪主は葬儀中、常に忙しい身であるため、ほかの遺族と比べても短く感じる可能性があります。
基本的に喪主は故人と最も関係性の深い間柄であるため、最後の時間をゆっくり過ごしたいものです。したがって、葬儀の忙しさに追われて心の準備ができないまま、最後の時を迎えてしまう恐れがあります。
お通夜なしの家族葬は遺族からの理解が重要
お通夜なしの家族葬を執り行うことは、特に問題ありません。そもそもお通夜は家族や近しい親戚、友人のみで過ごす儀式であり、近しい人物のみが参列する家族葬において必要ないと考えられるからです。
お通夜を省略すると遺族の心身にかかる負担を軽減できるメリットはありますが、一方で菩提寺や親族の許可を得なければトラブルに発展する恐れもあります。家族葬もお通夜なしも比較的新しい葬儀のスタイルなので、遺族同士でしっかり話し合って内容を決めましょう。
家族葬を行う際は、アートメモリーにご相談ください。お通夜なしの葬儀も可能ですし、ご要望に沿ったお葬式をご提案いたします。