家族葬は親しい間柄のみで行う小規模な葬儀の形式なので、遺族から「家族葬を行う」と言われたらどうすればいいのかわからないこともしばしばあります。特に、今まで身近で家族葬を執り行われたことがない場合は、参加していいのか判断できないものです。
本来参加を控えるべきだったにもかかわらず参加したり、あるいはその逆だったりした場合は遺族に迷惑をかけかねません。
そこで本記事では、下記についてまとめました。
- 家族葬と言われた際に参列すべきか判断する基準
- 家族葬に参列する場合のマナー4つ
- 家族葬に参列しない場合のマナー3つ
この記事を読むと、家族葬の概要や参列する判断基準が分かるため、「家族葬に参列したいが、参列してもいいか」とお悩みの方におすすめです。
家族葬と言われたらどうすればいい?
遺族から家族葬と言われた場合、参列するか否かは基本的に遺族の意向に従いましょう。ただし、参列の可否だけではなく、何をどうすればいいのかわからない方も多いです。
家族葬を選ぶ方が増加しているとはいえ、やはり一般葬が多く、家族葬に参加したことがない場合も少なくありません。家族葬に関して知識がない方のために、まずは「そもそも家族葬とは何なのか」という観点から詳しく紹介します。
そもそも家族葬とは
家族葬とは、家族のみで執り行われる葬儀を指します。近年、高齢社会の影響や経済的理由、新型コロナウイルスの影響から、親族や親しい友人だけを招いて行う家族葬が増加しました。
しかし、「家族」という言葉の範囲が広いため、家族葬といえども招待される方は家庭によって異なります。遺族の意向により、親戚や上司、同僚や近所の人々までが呼ばれることもあれば、あくまで血縁者だけで十分とする家庭も多いです。
なお、下記の記事で、家族葬について詳しく解説しています。そもそも家族葬についてよく知りたい方は、あわせてご確認ください。

基本的に遺族の意向に従う
家族葬が執り行われる場合、確認するポイントはいくつかありますが、基本的に遺族の意向に従えば間違いありません。家族葬は遺族の意向が最も重視されるため、「大々的には行わない」という意向を尊重することが大切です。
そのため、遺族から明確に招待されていない場合は、無理に参列を申し出るのは控えましょう。
家族葬と言われた際に参列すべきか判断する基準
家族葬と言われた際に、参列すべきか判断する基準は下記のとおりです。
- 親戚か否か
- 訃報の有無
- 葬儀情報の有無
家族葬と言われた際、自身が参列すべきか否か迷ってしまいます。初めて家族葬に参加する場合はなおさらです。まずは、自身と故人が血縁関係にあるのか、が重要なポイントになります。ひとつずつ見ていきましょう。
親戚か否か
まず、親戚かどうかが、家族葬に参列する判断基準です。血縁関係になく、遺族からの招待がない場合、参列は控えます。一般葬ではなく家族葬を執り行うということは、「静かに故人を送り出したい」という遺族の気持ちの表れです。
いかに友人として故人と親しかったとしても、遺族の気持ちを尊重しましょう。また、招待されなかったからといって、故人との関係をないがしろにされているわけではありません。故人を大切に想えばこそ、遺族の気持ちに従いましょう。
訃報の有無
訃報が届いているかどうかも、参列の判断基準です。故人が亡くなったことを知るのは、大きく「訃報」と「人づてに聞く」の2パターンにわけられます。
遺族から訃報が届いた場合は、「家族葬に参列してほしい」という気持ちの表れのため、血縁関係になくても参列しましょう。
一方で、判断に悩むのが「人づてに聞いた」場合です。知ってしまった以上、参列したくなるのが心情ですが、訃報が届いていない場合は基本的に参列しません。
無理に参列しようとすれば遺族の迷惑になりかねないため、余計な詮索はせず、弔電や弔問など適切な形で弔意を表しましょう。
葬儀情報の有無
訃報を受け取っても葬儀情報が細かく伝えられていない場合は、参列を不要とする遺族の意向を表しています。そのため、遺族に連絡して葬儀の情報を聞き出したり、その情報を流したりしてはいけません。
また、訃報によっては葬儀情報の有無にかかわらず、「参列を辞退する」旨が明記されている場合もあります。この場合も、当然参列を控えるべきです。しかし、情報があいまいな場合は自分から勝手に参列を申し出るのではなく、遺族に連絡することをおすすめします。
参列する場合のマナー4つ
家族葬へ参列する際に、守るべきマナーは下記のとおりです。
- 香典を用意する
- 喪服を着用する
- お悔やみの言葉を述べる
- 家族葬について口外しない
家族葬でも、礼節を欠かしてはいけません。カジュアルなスタイルは絶対に避け、一般葬と同様に喪服を着用し、お悔やみの言葉を忘れないようにしましょう。順番に紹介します。
香典を用意する
一般葬と同様に、家族葬でも香典を用意しなければなりません。ただし、香典辞退の連絡を受けている場合は、持参を控えます。
もし、明確な意向がわからない場合は、遺族に直接連絡して確認したり持参して会場で確かめたりしましょう。香典を持参して会場で辞退していることが判明すれば、速やかに取り下げます。
なお、香典を用意する際の金額は、一般葬と変わりません。故人との関係性によって適切な金額を用意しましょう。
下記の記事で、香典の金額相場や香典袋の書き方を紹介しているので、あわせてご確認ください。

喪服を着用する
家族葬でも一般葬と同様に、喪服で参列します。男性は白いシャツに、スーツを着用しましょう。スーツはストライプや光沢のあるものを避け、ブラックスーツを選びます。
女性は、黒のワンピースを着用し、過度なアクセサリーを控えましょう。学生は普段の制服で構いません。制服がない場合は、大人と同様に黒の服を選ぶのが無難です。
お悔やみの言葉を述べる
家族葬でも、一般葬と同様にお悔やみの言葉を述べなければなりません。一般葬では受付で香典を渡すのと同時に述べるのが一般的ですが、家族葬ではその規模から受付を設けていない場合もあります。その場合は、喪主に直接お悔やみの言葉を述べて構いません。
香典を渡す場合は、同時に渡しましょう。なお、葬儀中の喪主は忙しいうえ、参列者への対応もしなければなりません。挨拶で長い時間引き止めないように、短めに心がけるのがおすすめです。
家族葬について口外しない
家族葬の情報は、特に指定がない限り、口外しないことがマナーとされています。葬儀に関連するすべてが終わってから、遺族が「親族のみで執り行いました」と報告する可能性があります。
遺族が公にする前に情報が漏れてしまうと、葬儀を知らなかった方から「招待されなかった」と不満の声が漏れるかもしれません。
また、家族葬が執り行われる前に「参列予定」と口にしても、上記と同様に不満の声があがる可能性もあります。トラブルに発展すると、遺族にさらなる心労を与えかねないため、遺族が公にするまで口外しないように気をつけましょう。
参列しない場合のマナー3つ
家族葬に参列しない場合でも、下記のポイントを押さえておきましょう。
- 供花・弔電
- 香典
- 弔問
家族葬に参列しなかった場合、後日弔問して弔意を示すことができます。ただし、弔問する際は葬儀から少し間を置き、遺族に確認してからにしましょう。ひとつずつ紹介します。
供花・弔電
参列しない場合は、供花や弔電を送ることで同僚や上司などでも故人への敬意を示すことが可能です。ただし、喪主の意向で辞退している場合もあります。勝手に送ると迷惑をかける恐れもあるため、受け付けているか事前に確認することをおすすめします。
香典
参列しない場合に弔意として香典を送ることもできますが、香典を辞退している場合もあるため、送らないほうが無難です。参列していない人に香典返しを送らなければならなくなるため、遺族に手間をかけることになります。
どうしても香典を送りたい場合は、供花と同様に遺族へ事前確認をしましょう。
なお、下記の記事で、家族葬に参列しない場合の香典について詳しく紹介しています。香典の代わりになるものを知りたい方は、ぜひご覧ください。

弔問
弔問とは、遺族のもとを訪れて直接弔意を示すことです。弔問する際はタイミングが重要で、葬儀が終わって1週間後程度が良いとされています。葬儀直後は、遺族が対応に追われている場合もあるため避けましょう。
また、突然弔問するのではなく、事前に遺族へ連絡を入れて訪問の了解を得るのが重要です。その際、香典や供花を持参しても大丈夫か確認しておきましょう。
家族葬における参列者の範囲
家族葬における参列者の範囲は、遺族の意向によるもので、明確な基準はありません。一部の家庭では家族のみを招待しますが、親戚まで招く家庭もあります。また、参列者の人数や故人の遺志を尊重する場合も多いです。
下記の記事で、遺族が家族葬に呼ぶ範囲について紹介しています。遺族の気持ちや基準を知りたい方は、ご一読ください。

家族葬と言われた遺族の意向を確認して弔意を示そう
家族葬と言われた場合、遺族の意向を尊重しなければなりません。弔意を示す方法は葬儀への参列だけではないため、形式に捉われず故人への敬意と遺族への思いやりを忘れないことが大切です。
参列する場合でもしない場合でも、マナーを守って適切な方法で弔意を表せるようにしましょう。